竹中平蔵:公務員改革:霞が関官僚の間違い(07年05月の論調)

こんな記事をみつけました。なかなか官僚の抵抗は根強く改革も障害だらけの現状だ。

公務員改革:霞が関官僚の間違い
(2007/05/09)

◇竹中平蔵(慶応大学教授、日本経済研究センター特別顧問、前総務相)
 ここ数カ月の間、行政改革の一環として公務員制度改革が話題になってきた。渡辺行革担当相が改革案を示し、官僚と族議員が抵抗。最後に総理が改革を進めるよう指示を出した、というものである。総理指示が出されて明快な改革パターンが示されたことは評価できるが、「官僚族」(過去官僚)という新たな族議員も登場した。

 今回ここであらためて議論したいのは、政策の中身である。渡辺行革担当相の主張は「各省庁による再就職あっせんは、予算や権限を背景にしているから全面禁止する。そのかわり霞が関に新・人材バンクを作る」というものだった。賛成である。きわめて理にかなった政策と言える。

 これに対し、霞が関官僚はメディアに対しても猛烈な反対キャンペーンを展開した。結果的に、一部メディアはこれら官僚と全く同様の論陣をはって渡辺案に反対した。反論の中身は、総じて言えば「官僚が生涯安心して働けなくなる」というものである。

 私は、この意見は2つの点で根本的に間違っていると考える。第1に若い優秀な官僚達は、決して天下りや再就職のために働いているのではない。もっと純粋に、よい政策をしたいという志を持っている。天下り確保は、こうした官僚の純粋な姿勢をむしろゆがめるものなのである。

 第2に、そもそも多くの反論は、政策を終身雇用で行うという現在の状況を暗黙の前提としている。しかし、政策を終身雇用で行うからこそ多くの官庁が特定の利害を持って族議員と結びつき、今日のような批判を受けている。政治のリーダーシップを確立するためにも政治任用を積極的に増やすべきである。つまり、終身雇用による官僚制度そのものを見直すことこそが、公務員制度改革の要になるべきである。

 長期に官僚の職にあることによって、ノウハウが蓄積され、良い政策ができるという反論もあろう。しかし今、多くの若い専門家が政府に入って仕事をしたいと考えながらいまひとつ躊躇(ちゅうちょ)するのは、役所の待遇が終身雇用を前提としているからにほかならない。

 終身雇用は、新たな優秀な人材の参入に対して、明らかに障壁となっている。結果的に官僚の終身雇用制度は、むしろ役所の仕事の質を(社会の潜在力からみて)低いものにしていると考えるべきだ。

 一方で、今回必ずしも十分注目されなかった点がある。目下、国家公務員が退職直前の仕事に関連する民間企業へ再就職することは2年間無条件で禁止されている。

 しかし、今後役所と無関係に再就職することが本当に実現するなら、こうした規制は全く無くて良いのである。退職したら、すぐにどこでも働く自由を与えてよいのではないか。その意味では、民主党がいう「禁止期間を5年に延長する」というのは、政策の方向が逆向きになっている。

 また、新・人材バンク(そもそもこのようなものは民間企業にはない)を恒久的なものとするのか、激変する制度を緩和する一時的な措置とするのか…。そうした点こそが、もっと議論されるべきであろう。

 それにしても、この問題に関し一部メディアの論調の官僚寄りは露骨なものがある。こうしたバイアスが、ここまで官主導を助長してきたのだろう。

◆滝田洋一(日本経済新聞社編集委員)
 公務員制度改革について、興味深いポリシーウオッチと思いました。終身雇用システムが官僚システムを歪ませるという指摘には、膝をたたきました。そのうえで、一点補足したいと存じます。国家公務員法改正案に27条の2として追加された、次の条文です。

「採用後の任用、給与その他の人事管理は、職員の採用年次及び合格した採用試験の種類にとらわれてはならず(略)人事評価に基づいて適切に行われなければならない」

 人事管理の原則を打ち出した条文ですが、「職員の採用年次」にとらわれるなとは、平たく言えば年功序列の否定です。「採用試験の種類」にとらわれるなとは、キャリア(現在の国家公務員1種試験合格者)とノンキャリア(それ以外の合格者)の人事上の区別をなくせという意味です。さらに、人事管理を「人事評価に基づいて適切に行う」とは、行った仕事に基づく業績主義の採用にほかなりません。これは正に革命的です。

 失敗しなければ年次ごとに昇進するというエスカレーターを設け、途中ポストで役所を離れる官僚には天下りの形で生涯収入を保証する。そんな終身雇用制度に風穴を開けるような、人事管理システムが新たに導入される訳です。

 この条文は大きな抵抗もなくスルッと閣議決定され、国会に提案されました。安倍首相や渡辺行革担当相の意志力に加えて、過去官僚の面々の関心が天下り禁止と人材バンクに集中していたからでしょうか。2002年末の金融再生プログラム(竹中プラン)の議論で、銀行の反対が税効果会計(繰り延べ税金資産)に集中し、将来得られる現金の額から利子率などを考慮し現在価値を導くDCF(ディスカウント・キャッシュフロー)の採用などがスルッと通ったことを思い出します。
http://netplus.nikkei.co.jp/forum/academy/t_70/e_374.php から引用

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