原子力戦争を書いたためにサンデープロジェクトは終わりになったのか。さすが東電の広告力が世論を左右して

田原氏「金総書記の死亡日、発表情報は全部嘘だね。」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20111229-00000000-blogos-pol
BLOGOS 編集部 1月16日(月)17時3分配信
不屈のジャーナリスト田原総一朗氏が注目のニュースを解説する「田原総一朗の『ニュースの裏側』」。今回は、北朝鮮の金正日総書記の死の裏側を中心に、今年一年を総括していただいた。【取材:田野 幸伸・文:永田 正行(BLOGOS編集部)】
■「金正日死亡は17日」の嘘
―北朝鮮の金正日総書記の死去が12月17日に発表されました。今後の北朝鮮情勢についてのお考えをお聞かせください。

まず金総書記の死亡については、発表している情報が全部嘘だね。例えば、「12月17日に死亡した」と報道されているが、これは100%嘘。死去したのは17日より前だ。

実は12月12~16日まで、インドネシアのユドヨノ大統領が平壌に来ていた。インドネシアというのは、現在北朝鮮と非常に関係の良い国だ。ユドヨノ大統領は、当然金正日に会いにきているのだが、キャンセルされて会えなかった。友好関係にある国のトップが、会いに来たにも関わらず、会えなかったということは通常あり得ない。つまり、金総書記は相当体調が悪かったのではないか、と考えられる。しかし、こういう場合は体調が悪くても会う。短い時間であってもね。それなのに、会えなかったということは、既に亡くなっていた可能性が高い。この説には、最近になって異論も出ているが、金総書記が死去したのは、少なくとも17日ではない。

ここで問題になる一つの事実がある。9月12~16日まで、やはりインドネシアの前大統領(メガワティ前大統領)が平壌に行っている。メガワティ前大統領は、北朝鮮とインドネシアの友好関係を築いた人物だが、この時も金正日に会えていない。この事実をもって、この時に既に死亡していたというつもりはないけれど、この時点で相当体調が悪かったのではないかということは言えるだろう。

では、何故17日まで死亡の発表を伸ばしたのか。

金正日には妹(金敬姫)がいて、その妹には夫(張成沢)がいる。その夫が、北京に17日以前に入って、中国の共産党幹部と会ったという確かな情報がある。張成沢は、何をしに中国に行ったのか。おそらく、中国の指図を受けるためにいったのではないかと思う。

金正日総書記の後継者として、28歳の金正恩の名前が挙がっている。彼は、いわゆるボンボンで、これまでの経験も実績もないし、信用もされていない。金正日と正恩の一番の違いは、修羅場を経験しているかどうかという点だ。正日は父親である金日成の時代に、ロシアで言うスターリン時代のような殺し合いの中で、父親が権力を勝ち取る様子を見ている。そのため、金正日は権力抗争時におけるリスクに対する勘が働くのだが、経験のない正恩は、そうした勘が働かない。

さらに北朝鮮という国は、共産党の幹部たちが国民を弾圧し、完全に抑えつけている。このような秩序を保つためには、上層部が一糸乱れぬ団結をしていなければならない。上層部が乱れてしまったら大混乱になる。少なくとも金正日時代は、一種の恐怖政治を敷いて上層部の団結を維持していた。何故恐怖政治が成功したかというと、正日が修羅場を経験していたからだと思う。例えば先軍政治に代表されるように、軍を如何に大事に扱うかというようなツボを知っていたからだ。

実は小泉さん(小泉純一郎・元首相)が、訪朝した後に、僕は北朝鮮に2度行っている。その時に、拉致被害者のうち8人が亡くなっていると北朝鮮側が小泉さんにいった。

僕は、もし亡くなっているというならば、非常に疑わしいわけだから、「いつ、誰が、どのような経緯で拉致して、どのように亡くなったのかを、当事者が出てきて語るべきだ」「日本は警察力を動員して、実態を日本側に誠実に誠意をこめて説明すべき」として、日朝の国交正常化大使であるチョン・テハに直接話したんだ。5時間ね。

そうすると、チョン・テハは無理だという。「そりゃ、あなたには無理だろうが、金正日総書記には出来るだろう」というと「それも無理だ」と。何故なら「独裁者というのは実は弱いものだ」といったんだね。「金正日総書記が独裁を維持できるのは、軍と秘密警察を握っているからだ。あなたがいうように、『誰が誰を拉致したかを明らかにする』ことは秘密警察機関の弱体化につながる。そんなことをしたら暗殺される」。そんな話をしていたのを聞きました。

つまり、金日成時代に修羅場を経験している金正日は恐怖政治を行う場合に、「どこを抑えるべきか」というのを知っているが、正恩はまったくのボンボンで知らない。だから、このままでは体制の維持は難しいだろうという話だ。

そうした状況の中で、金正日が死んだ。この事実は限られた側近しか把握していなかったが早い段階で中国にだけは教えた。先ほどいったように、金正日の妹の夫が北京にいって、全面的に中国の支持を仰いだ。どういう形で死亡を発表すればいいかという物語をつくったわけだ。

「偉大なる金正日将軍は、最後の最後まで人民に尽くすため、体調不良をおして、視察を行い、その途中でなくなった」という物語。如何に正日将軍が、偉大な人物だったかという物語だ。また、葬式はどうするか。参列の順番はどうするか。こうした、あらゆることに対して、中国からの指示を仰いだのではないかと僕は思っている。そうした指示を受けるまでに17日まで掛かったのではないだろうか。

北朝鮮が混乱して一番困るのは中国だ。中国は朝鮮半島が南北に分かれて喧嘩している状態が一番いい。何故なら、もし朝鮮半島を韓国が統一したら、アメリカの勢力が半島を支配することになる。これは中国にとっては最悪の状態だ。南北に分かれて、北は中国側、南がアメリカ側というのがバランスが取れて一番いい。だから、中国は現在の体制を保つために、あらゆる援助をするだろう。

中国の援助を得たとしても、北朝鮮が秩序を保てるかは、非常に難しいと僕は思っている。だからこそ、今後北朝鮮は長期間喪に服することになると思う。喪に服すということは稟議や何かをしないということだ。やれば、不満が出るに決まっている。だから、おそらく半年から1年、あるいは2年でも3年でも喪に服するかもしれない。それが北朝鮮の現状だね。

■「脱原発」の主張は無責任だ

―様々なことがありましたが、改めて2011年を振り返っていただけますでしょうか。

今年最大のニュースは、「3.11」。津波や地震も大変なことだけれど、やはり原発事故だと思う。僕は、原発については40年前から危険性を指摘していたし、事故は起きると思っていたが、起きた時にこれほど大変なことになるとは思っていなかった。半径20キロ以内に人が住めない。20キロ先でも住めない地域がでるなんてことは僕も想定していなかった。

おそらく日本人の70%以上は、「原発は止めろ」「脱原発」だと考えているのではないだろうか。大江さんがやったような「脱原発」の集会には多くの人が集まっているようだ。しかし、僕は脱原発ではない。脱原発はある意味、「無責任」だと思う。なぜならば、「脱原発」といって原発をやめても日本中の原子力発電所の原子炉には使用済み核燃料がたくさんある。使用済み核燃料というのは、放射能の塊だ。これをどうするんだという問題がある。東電や政府の計画では、使用済み核燃料は、青森県の六ヶ所村で中間処理をするということになっている。

中間処理というのは、使用済み核燃料をガラス上に固めて、スチールの入れ物に入れることだ。しかし、その技術はまだ完成していない。青森に持っていっても仕方ないから、今は原子力発電所においてある。これをどうするのかが大問題なんだ。さらに、中間処理をしても最終処理はどうするのか。まったく見当もついていない。

僕は、中間処理から最終処理、あるいは例えば、廃炉まで30年から40年掛かると思っている。脱原発の人たちは、原子力発電所を止めれば、それで一件落着のように思っているが、まるで一件落着ではない。これはバックエンド問題というのだけど、使用済み核燃料をどうするかという問題は残るわけだ。

僕は脱原発ではないけれど、新たに原子力発電所を作れるとは思っていない。何故なら、いままで地域を丸ごと買収して建設してきたけれど、買収したのはせいぜい4キロ圏内ぐらいだからだ。20キロ圏内なんて買収できないから、新しくは作れない。

もう1つは、原子力発電を止めたあと、どのように代替エネルギーを確保するのかという問題がある。現在、民主党の中で、エネルギー問題をどうするかという研究会が設立されており、来年の春か夏までに何らかの報告を出すと思う。

さて、読者の多くはもう忘れているかもしれないけれど菅直人という首相を勤めた男がいた。実は、菅元首相は2010年6月に、2030年の電力の需給の内訳を決めている。それによると、化石燃料26%、原発がなんと53%、残りの21%が太陽光、風力、水力といった自然エネルギーとなっている。僕は、この自然エネルギー21%というのが難しいと思う。現在では約10%が自然エネルギーだけど、10%の中の8.5%は水力だ。つまり、太陽光や風力は1%強しかない。これが10%にするのは非常に難しい。一時期、原発の代わりに太陽光だという議論が盛り上がったが、今はすっかりしぼんでしまった。では、原発の53%を何で補うのかが大きな問題となる。

10年後、エネルギーの内訳はどのようになっているのか。これは僕の推測だけどおそらく、40%以上が化石燃料、20%が原発、10~15%が省エネ、それで残りが、自然エネルギーという形になっているのではないだろうか。そうなるとすれば、今動いている原発は動かせるだけ動かして、その間に懸命になって原発に変わる新しいエネルギーを開発しなければならない。一方で40%が化石燃料となれば、先日のCOP17で相当もめた、CO2の問題は忘れなければならない。こうした、いろんな矛盾があるから、「脱原発」といってあっさり原発をやめるわけにはいかないだろう。

さらに、発想の転換も必要だと思う。それは人類が近代化して、進歩・発展していくことが、本当によいことなのかいう議論だ。進歩・発展の問題点のは一つが原発だ。科学技術の発展によって原子力発電が可能になったが、これは人類に本当に恩恵をもたらしたのかという疑問だ。

もう1つ、いま資本主義の先進国、日本、アメリカ、ヨーロッパは全部不況に陥っている。近代合理主義は資本主義が基本だ。僕は、社会主義がいいとは言わないけれど、資本主義の在り方も見直さなければならないと思っている。

つまり、これまで「これでいける」と考えられていた考え方をもう一度考え直さなければならない。「3.11」によって、そうした問題提起がなされた。そして、その後のユーロ危機や先進国の全面的不況によって、「さあこれからどうすればいいか」という重大な問題提起の年になった。これが2011年だろうね。

■2012年は既存のメディアの在り方が問われる

さらにもう1ついえるのは、チュニジア、エジプト、リビアで長期独裁政権が倒れた。倒したのは、facebookやTwitterなどインターネット技術の発達だ。北朝鮮もそうだが、独裁国では既存のマスコミは、すべて政府に取り込まれていて、政府宣伝機関になっている。日本においても、大手マスメディアは相当体制よりだ。

マスメディアの問題は、情報の発信者が一部のプロに限られていて、国民の大多数は"受け手"でしかないことだ。しかし、多くの人がソーシャルメディアの誕生によって、情報の"送り手"にもなることができるようになった。こういう状況が、エジプトやチュニジアで革命を生んだ。このことに関しては、中国も相当神経質になっていると思うよ。そんな最中に、今まで情報を押さえ込んでいた北朝鮮でトップが死んだ。これは非常に象徴的な出来事だね。

だから、2011年は、2012年に向けて既存のマスメディアが今後どうあるべきかという問題提起をした年だとも思う。

12月31日の「朝まで生テレビ」では福島原発の問題について、掘り下げていくつもりだ。原発というもの、文明というものをどのように考えていくのか。そのヒントになれば幸いだね。

―今年は著名人でも多くの方が亡くなりましたが、特に親しかった方などはいらっしゃいますか(今年なくなった著名人のリストを渡す)

(リストを見ながら)たくさんいますね。長門洋子さんも、横沢彪さんも親しかった。横沢さんは、まさにお笑いブームを作った人だね。原田芳雄さんは、原子力戦争の主役だったし、小松左京さんなんかは、僕が注目していた作家だった。

それからスティーブ・ジョブズが亡くなったことも大きいね。僕は、ジョブズには会ったことがないけれど、ビル・ゲイツには何度も会っている。ゲイツが「世界一の大天才はスティーブ・ジョブズ」だと言っていたね。

―来年はどのような年になるでしょうか

今は、政治家に大物がいなくなった、経営者も大物がいなくなったといわれているが、僕はそうではないと思う。それだけ、舵取りが難しい時代なんだ。

自民党が長期にわたって政権を維持してきた。何故、政権を維持できたかというと、高度経済成長が続いてきたからだ。高度成長の時代というのは、今日より明日、明日より明後日が豊かになると、みんな未来が明るいと思っていた。同時に景気がいいということは企業が儲かって税金がたくさん入ってくる。歳出より歳入が多かった。つまり、国に金が余る。余った金を国民にばら撒けばいい。だから減税に次ぐ減税、あるいは福祉を手厚くしてきた。つまり自民党が長期にわたって政権を維持できたのは「利益」の配分をしてきたからだ。

しかし、今度の消費税増税が象徴的だけど、今は国民に「負担」を配分しなければならない。利益の配分の時は政治が楽だったけど、負担の配分となった今では難しい。そういうことだね。

■「これじゃ原子力がかわいそうだ」と思って原子力戦争を書いた

―田原さん原作の原子力戦争のDVDが12月の初めに発売されました

原子力戦争は、僕が原作をかいて、それを黒木和雄さんが、映画化した。僕が「原子力戦争」を書いたのが1976年です。きっかけは、原子力船むつというのが作られて、航行試験中に放射線漏れを観測して大騒ぎになった。

当時は、新聞もテレビも「放射能」と「放射線」を誤解していて、「放射能」が漏れたと書いて大問題になった。結局、原子力船むつは解体することになったのだが、このことがきっかけで、僕は原子力、原子力発電とは何だろうかという疑問をもったんだ。

それで、まず反対派の集会に行ってみた。すると、そこでは、「もし原子力船むつが、風でも吹いて転覆したら、青森県は第2の広島になる」なんてことを言っている。そんなバカなことはないと思った。

反対派はめちゃくちゃ言っているなぁと思って、今度は推進派の集まりに行った。そしたら、「皆さん、放射能は体に悪いと思っているでしょ。これは大間違いで、皆さんも体調が悪くなったらラジウム温泉に行くでしょ。あれは放射能ですよ」なんて言っている。これもむちゃくちゃだった。

反対派も推進派も原子力をむちゃくちゃに言っている。これでは原子力がかわいそうだ。じゃあ、原子力って一体なんだ、というわけで取材を始めた。

で、あちこち行きました。今度事故を起こして大問題になっている福島第一原発にも取材に行きました。今誰も住めない状態になっている福島第一原発の地元である双葉、浪江と、大熊といった町にも取材に行った。関西電力の美浜、もちろんむつにも行きました。

取材の中で感じたのは、原子力発電というのは「大問題」だということだった。とても危険であるということはもちろんだけど、まず何が大問題というと、例えば福島で原子力発電所を作るときに、地域の住民たちと原子力が安全か危険かという議論を一切していない。美浜もそう。どこもしていない。

じゃあ何故建てるのかというと、100%大丈夫だ、事故は起きませんと言っている。今、福島第一原発で事故が起きて、「安全神話が崩壊した」なんて言われているが、「安全神話」なんていうものは、そもそもなかった。僕は40年前から原子力の危険性を指摘していたわけだからね。

で、何が問題かというと、結局福島で言えば双葉とか浪江において、危険か安全かという議論が一切されず、地域丸ごと買収している。だいたい、日本の原子力発電所というのは、地域を丸ごと買収という形で建設され「100%安全」ということになっている。こんなこと今更言わなくてもいいけれど、「100%安全です」といわないと住民は許可しない。

アメリカやヨーロッパは違う。90%安全だという。その代わり、こういう対策をすると98%。さらに、こういう対策をすると、99.2%安全だという。しかし、日本では99.2%安全ではダメで「100%安全だ」といわないと建設することができない。逆に言えば、それは国民の問題でもあるわけだね。

危険か安全かという議論抜きに、地域買収で建設されている。だから、「原子力戦争」では、原子力が危ないというところから始まって、原子力発電所とは何か、如何にきわどい技術かということも書いています。事故が起きる可能性もあるし、下手をするとテロが起きる可能性も指摘しています。今回の事故を見てもわかるとおり、普通のテロよりも危険性は大きい。なぜなら20キロ圏内に人が住めなくなるわけですから。そういうことも書いている。これが原子力戦争です。

で、結局これを書いたために僕はテレビ局を辞めざるを得なくなった。それを黒木さんが映画化したいといったので、「どうぞどうぞ」といったのが原子力戦争です。 .

最終更新:1月16日(月)17時23分

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