南シナ海はすでにシナの独壇場。無能オバマが習近平に騙された結果が、着々とシナの軍事占領沖縄への拡大を許している

「北戴河」に身構える習主席、南シナ海軍事演習の真相
編集委員 中沢克二
米中衝突 習政権ウオッチ 習政権 コラム(国際・アジア) 中国・台湾 朝鮮半島 北米
(1/2ページ)2019/7/10 4:30日本経済新聞 電子版
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中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞
中沢克二(なかざわ・かつじ) 1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞

大阪での20カ国・地域首脳会談(G20サミット)の初日だった6月28日の午後、恒例となっている参加首脳らによる記念撮影の際、極めて異例の光景が出現した。中国国家主席、習近平(シー・ジンピン)が自ら米大統領のトランプの前までわざわざ動いて握手を求めたのだ。

G20大阪サミットで集合写真の撮影の際、中国の習近平国家主席(手前)はトランプ大統領の前に自ら進み握手を交わした(6月28日午後、大阪市)=代表撮影
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G20大阪サミットで集合写真の撮影の際、中国の習近平国家主席(手前)はトランプ大統領の前に自ら進み握手を交わした(6月28日午後、大阪市)=代表撮影

経済減速で苦しい習近平は翌日に控えたトランプとの会談で何とか貿易交渉を巡る話をまとめたい。だからメンツを捨ててでもトランプに近付いた。この映像を一見すると「強気のはずの習主席がついに膝を屈した」という印象だろう。

しかし、ことはそう簡単ではなかった。中国軍の最高意思決定機関、中央軍事委員会のトップでもある習近平は、その裏で「交渉継続」と「物別れ」の両方に備える周到な準備をしていた。場所は大阪からはるかかなたの米中確執の最前線、南シナ海である。

中国は6月29~7月3日、南シナ海の一部に航行禁止や飛行禁止区域を事前に設定し、米中首脳会談の前から軍事演習の準備に入っていた。そして世界が注目したトップ交渉が終わるか終わらないかという微妙なタイミングで実際に軍事演習が始まった。

■中国は人工島上での演習を否定

当初は中国のインターネットメディアもこの南シナ海での軍事演習を自画自賛していた。外国の報道を引用しながら「中国大陸から最も離れた場所で実施された中国海軍の近海総合作戦能力を示す演習だった」などと大々的に扱っている。

南シナ海で演習する空母「遼寧」などの中国艦隊(2018年4月)=新華社・AP
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南シナ海で演習する空母「遼寧」などの中国艦隊(2018年4月)=新華社・AP

しかし、中国にとって幸か不幸か、その頃、世界の関心は南シナ海になかった。板門店での3回目の米朝首脳会談で騒然としていたのだ。当日の6月30日ばかりではなく、7月に入ってからもトランプが仕掛けた唐突な大イベントの余波が続いていた。

だが、7月3日になると雰囲気が一変する。複数の米メディアが、米国防総省当局者の話として、中国が南シナ海で弾道ミサイルの発射実験をし、洋上に着弾したと報じたのだ。6月29日か30日との見方が強い。29日は習近平・トランプ会談のまさに当日、30日なら米朝首脳会談の当日である。

米CNNテレビによると、米国防総省報道官は「中国が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島周辺の人工施設からミサイルを発射したことを把握している」と述べた。

中国外務省はしばらく論評せず沈黙を守った。担当部門の中国国防省に聞いてほしいとするだけだった。その後、中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報が「海南島付近の海域で実弾射撃訓練をしたのであって、人工島の上ではない」という趣旨の中国国防省新聞局コメントを紹介した。これを中国国営の中央テレビのインターネット版も引用する不思議な報道の形となった。

しかし、よく見ると人工島上での実弾演習を否定したのであって、南シナ海に絡むミサイル演習自体は肯定も否定していない。詳細はなお不明だ。しかも米側が問題視する人工島は、中国が独自に設定した行政区分上は海南島を主とする海南省傘下の三沙市に属している。

■迫り来る夏の「北戴河会議」

「空母キラー」と呼ばれる中国軍の弾道ミサイル「東風21D」(2015年9月3日、北京での軍事パレード)
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「空母キラー」と呼ばれる中国軍の弾道ミサイル「東風21D」(2015年9月3日、北京での軍事パレード)

中国が保有する対艦弾道ミサイルは、空母キラーと呼ばれる対艦弾道ミサイル「東風21D」や新型の「東風26」。射程が長い「東風26」は米軍拠点のグアム、オーストラリアのダーウィンも攻撃できるとされる。仮に人工島からの発射が事実なら射程が数百キロと短いミサイルの可能性もある。

習近平は2015年に訪米した際、米大統領だったオバマに南シナ海の島々について「軍事拠点化しない」と公言している。しかし、その約束は守られなかった。米軍制服組トップである統合参謀本部議長のダンフォードは5月末、中国は島々に弾薬庫や滑走路を建設し、ミサイル防衛設備を置いていると指摘した。

これに対し中国の国務委員兼国防相の魏鳳和は6月、シンガポールでの国際会議で、南シナ海の人工島の軍事拠点化問題について「防衛施設の建設」で「主権国家の正当な権利である」と主張している。「防衛施設の建設は軍事拠点の建設ではない」。そんな理屈は一般的には通用しない。

南シナ海、波高し――。米中両国のつばぜり合いは激しい。対艦弾道ミサイル実験の真相はなお不明でも、米中首脳会談と同時進行で南シナ海に航行禁止区域を設定し、軍事演習を実施したのは事実である。米国による「航行の自由作戦」などへの対抗措置という位置付けだ。

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