誰もがあきれる野党のクイズ質問。答弁は自分で調べろで良い。国会審議は崩壊している

不毛で恥ずかしい国会質問
阿比留瑠比の極言御免
2018.11.29

 衆院予算委の集中審議で立憲民主党の山尾志桜里氏(左下)の質問に答える安倍首相=26日午前

 人情の機微をうがつ作風で知られる作家、山本周五郎は短編小説『大将首』で、主人公をからかい、おとしめようとする同僚たちのことをこう描いている。

 「何処(どこ)にもそんな人間がいるものだ。自分たちと同じ低さに下りてこないと承知しない、(中略)こういう人間は自分の卑しさを糊塗(こと)するために、あらゆる人を自分たちと同じ卑しさに堕(おと)そうとするのだ」

 唐突に山本作品を引用したのは、26日の衆院予算委員会での立憲民主党の山尾志桜里氏の出入国管理法改正案に関する質問を見ていて連想したからである。

 山尾氏は自分で安倍晋三首相の答弁を求めておきながら、野田聖子委員長の制止を無視して、首相答弁の最中に盛んにヤジを飛ばして答弁を妨害していた。

 「(きちんと)答弁できないならやめてください」

 「だって答弁できないんだもん」

 これには首相も苦笑していたが、恥ずかしくて子供には見せられない光景だと感じた。仮にも選良と呼ばれる人が、国会のルールなどなきがごとくに堂々と駄々をこねているのである。

 筆者も、この法案には疑問がある。例えば外国人労働者受け入れ人数の上限を、法務省令で定めるというが、省令などいくらでも変更できる。

 首相周辺は「実質的には入国管理強化法案だ」というが、安倍政権の間はうまく運営できたとしても、将来の政権がどう扱うかの不安はぬぐえない。政府答弁も曖昧なのは事実だろう。

 だが、だからといって質問者が首相答弁をヤジって「やめろ」というのは、国会質疑自体が無意味だと言っているに等しい。だとしたら、国会議員も不必要ということになろう。

 また、国民民主党の大島九州男氏が7日の参院予算委で、友人から聞いたとして桜田義孝五輪相に、韓国でイヌ料理を食べたのではないかと質問したのにもあきれた。

 桜田氏は否定していたが、大島氏は国会で何がしたかったのか。もし「食べた」と答えたら、動物愛護の精神がないとおとしめるつもりだったのだろうか。

 このほか桜田氏に対しては、五輪の基礎知識やインターネットの初歩的知識を執拗(しつよう)に問うなど、国会がクイズ番組と化したかのような場面も目立った。

 確かに桜田氏の答弁はあやふやで、野党がそこを突くのは理解できるが、全く建設的でない。何とも荒涼として不毛な国会のありさまである。

 こうした国会の惨状について、橋下徹前大阪市長はプレジデント・オンラインの連載記事(21日付)で、こう指摘している。

 「細かな事実や数字をその場で聞く、クイズみたいな野党の質問には、その場でタブレットPC(パソコン)で調べて答えるという国会慣習・ルールにしたらいい。あんな質問は首相や政府側が答えに詰まる場面を見せることだけが目的の最悪な質問だ」

 その通りだろう。政府・与党を追及するのが野党の役割とはいえ、相手をおとしめ、辱めるだけの国会質疑では、そもそも議論にもならない。哲学者、ニーチェはこんな警句を残した。

 「どういう人間を下劣だと言うのか。-いつも恥ずかしい思いをさせようという人間を」

 国会議員は、質問で相手の姿を丸裸にしておとしめようと試みるときには、自分自身の本性もまた、テレビ中継などを通じて有権者に見つめられていると知るべきである。(論説委員兼政治部編集委員)

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